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福岡地方裁判所 昭和56年(わ)206号 判決

本籍

福岡市中央区白金二丁目一五号一〇番地

住居

同 区白金二丁目一五番九号

生あん製造販売業

川端祥弘

昭和五年一二月九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官塩谷安男出席のうえ審理を遂げ次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月、罰金八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、福岡市中央区白金二丁目一五番九号において、北川生あん所を経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五二年分の総所得金額が三三、五六六、九〇二円で、これに対する所得税額が一四、〇四六、四〇〇円であったにもかかわらず、昭和五三年三月一四日、福岡市中央区天神四丁目八番二八号福岡税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四、七一六、五九七円で、これに対する所得税額が四八一、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の所得税一三、五六四、九〇〇円を免れ

第二  昭和五三年分の総所得金額が二八、五五六、八五三円で、これに対する所得税額が一一、一六一、一〇〇円であったにもかかわらず、昭和五四年三月一二日、前記福岡税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が六、二二八、〇四八円で、これに対する所得税額が八一三、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同年分の所得税一〇、三四七、八〇〇円を免れ

第三  昭和五四年分の総所得金額が二五、五六二、四六一円で、これに対する所得税額が九、六五四、一〇〇円であったにもかかわらず、昭和五五年三月一三日、前記福岡税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が五、一二五、八六四円で、これに対する所得税額が六一二、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の所得税九、〇四一、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書

一、川端多美子の検察官に対する供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書五通(検証番号27、28、30ないし32の分)

一、大蔵事務官作成の各査察官調査書四通(検証番号14ないし17の分)

判示第一の事実につき

一、検察官作成の報告書(検証番号11の分)

一、大蔵事務官作成の査察官調査書(検証番号18の分)

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(検証番号29の分)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検証番号8の分)

一、押収にかかる昭和五二年分の所得税確定及び同青色申告書(昭和五六年押第一四六号の一、二)

判示第二の事実につき

一、検察官作成の報告書(検証番号12の分)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検証番号9の分)

一、押収にかかる昭和五三年分の所得税確定申告及び青色申告書(昭和五六年押第一四六号の三、四)

判示第三の事実につき

一、検察官作成の報告書(検証番号13の分)

一、大蔵事務官作成の査察官調査書二通(検証番号22、24の分)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検証番号10の分)

一、押収にかかる昭和五四年分の所得税の確定及び青色申告書(昭和五六年押第一四六号の五、六)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は所得税法二三八条に該当するが所定刑中いずれも懲役刑と罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、罰金刑につき同法四八条二項により罰金額を合算した金額の限度内で被告人を懲役八月、罰金八〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用して本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 赤塚健)

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